March 16, 2007

怒る患者さま。

昨日怒る患者さまがいらした。
アトピー性皮膚炎をもっておられる。
30代半ばの男性。
ここ2回くらい、受診のたびに、ステロイドのことや漢方のコトを質問されたり、ちょっとドクターに噛み付いたりしておられた。
「なんや、納得しておられないのやな〜」という感じ。

昨日は最初からけんか腰だった。
なんか、色々言っているが、結局のところ
症状が変わらないのに3週間おきに受診する必要があるのに納得がいかない。
ステロイドの使い方に不満がある。(ステロイドをやめるとしばらくして悪くなる、使うとよくなる、というコトが納得いかない)
治してもらおうと思ってきているのに、完全に治ることはないといわれることに不満。
こする(こすれる)と悪くなります、といわれた、こすってませんかと決め付けられたことが不満。
汗をかくことも悪化の要因になりますといわれたが、汗くらい皆かくと思うので不満。
漢方を飲んでもあまり変わらないのではないかと思い納得がいかない。

などなど。
まあ、生涯お付き合いするケースがほとんどなだけに、治るとはいえない。でも生活に支障がないことをゴールとした場合に、最小限のスキンケアのみで過ごせる時期もあるのだから、その場合はいったん治療を中止する場合もある、でもその場合も再度悪くなることは十分あり得るのだから、悪くなり始めたら早く治療を再開する。
といったことも説明するが、「せっかく良くなってるのに、悪くなるかもしれないと分かっていて治療をやめるのはどうなんですか?」と納得いかない。

これは説明と理解ということの難しさだ。
言葉の定義において共通の理解をする重要さ。
このヒトの場合は「治癒(健康であること)」という言葉において、であろう。
そーいえば、看護学で学んだ。
健康であることの価値観は人それぞれ。
病気があっても健康にいきいきと過ごしている人はたくさん居るが、それはその人の自分自身への納得と、日々のケアのなせる業だろう。

例えば私は「びまん性汎細気管支炎」という病気もちだ。
高校生のときに発症、診断告知を受けた。
このとき、痰の中に緑膿菌がいて、このタイプの患者の5年生存率は75%だと聞かされた。
まあ、その後にクラリシッドという抗菌剤が開発されたために、私は救われたのだけど。
常に細気管支に炎症がおこっており、徐々に肺胞がやられる。
息を吸えるが吐き出すことが出来にくい。
晩年は呼吸不全を起こして酸素吸入が必要になるだろう。
人工呼吸器は使えないから、ヘンな延命治療は受けなくてすむけど。
風邪などを引いたら状態が悪くなるので、予防に気を使ってる。
水泳も呼吸器のため。
看護婦よりも保健師のほうがいいと思ったのも、病原菌に暴露される機会が少ないと思ったから。
だから努力もしたし。
まあ、今は、薬もやめていて、半年に1度CTを撮る程度だけど、少し調子が悪くなると不安で、不安がさらに呼吸状態を悪化させる。不便といえば、ちょっと強度の高い運動をするとすぐにぜいぜい言ってしまうことかな。もっと動きたいと思うのにね!
でもたいがいのことには満足していて、水泳もパラもできるし、毎日ご飯もおいしくてがははと笑っていられるし、ここのところ入院もしないで過ごせているから
私は今自分は健康だなあと思っている。


今は色んな情報が溢れているからね。
知らないよりは情報の数が多いほうが絶対いい。でもだからこそ、治療に関して迷う患者さまも多いのだ。
だから、いいなりにならないで、自分の意思を明確にしながら治療方法を選択するべきだと思う。
逆にいうと、勉強しておかないと医者に質問もできない、という現実もあるかな。まあ、どんな分野でもそうだものね。自分のからだのことだもの、知る努力はしたほうがいいよね。

あの患者さまはだから、怒れてよかったのだ。
ドクターが、一部分については誤ったのだが、「今さら誤られても!」とかなんとか怒り続けて診察室のドアをバターン!としめて出ていかれた。あらら。


それにしても。
日本の病院は忙しすぎないか?
説明をしすぎてたりないことはない。うちの先生は割りにきちんと説明しているほうだと思っているのだが、あまりに時間に追われてやはり言葉がたりない部分も出てきてしまう。
看護師がフォローできるところもあるが、やはり、患者さまは医師と話したいと思っているのだもの。





Posted by honeyrose at 00:33:42 | from category: Main | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
Comments
No comments yet
:

:

Trackbacks
DISALLOWED (TrackBack)